蝶々結び

夕食の時も、宿題をしていても、今日の事ばかり考えていた。


湯舟に浸かっている今も、あたしの頭はグチャグチャだった。


先生の彼女……


腕を組んでた……


先生がはぐらかした理由……


会った事も無い上杉先生の彼女を想像してしまうあたしは、情けない事に激しく落ち込んでいる。


この気持ちが、ヤキモチだと言う確証は無い。


だけど…


ドロドロとした黒い感情に取り巻かれ、ズキズキと痛む胸の奥。


この気持ちを“嫉妬”と呼ぶには、充分だと思う。


あたしが目撃した訳じゃないのに、上杉先生と彼女が隣同士で歩いている姿まで何度も想像してしまう。


真相を確かめる前にはぐらかされたせいで、余計に気になるのかもしれない。


お風呂から上がると部屋にこもって、しばらく携帯を握り締めたまま考え込んでいた。