蝶々結び

どこ行くの……?


それよりも手がっ……!


頭が混乱していたあたしは、咄嗟に白田君に掴まれている手を引っ込めた。


「あっ、すみません……。つい……」


困惑した表情で謝った彼に、何故か罪悪感が芽生えてしまう。


「あの……。あたし、こんなのって初めてでっ……!だから……ごめんね……」


白田君は、あたしのよくわからない言い訳と謝罪を真剣に聞いてくれた後、ニッコリと笑って口を開いた。


「俺の方こそすみません!いきなり馴れ馴れしいっスよね!」


「あっ、ううん……」


否定とも肯定とも取り難いあたしの返事にも、白田君は笑顔で返してくれた。


「じゃあ……手は繋がないんで、はぐれないで下さいね!」


小さく頷いたあたしは、彼から少しだけ離れた。


そして、再び歩き出した白田君の隣に並んだ。