蝶々結び

「ここなら大丈夫っス♪」


白田君がそう言って立ち止まったのは、牛丼屋の前だった。


「あっ、牛丼は嫌いじゃないっスか？」


「ううん、平気……」


むしろ、好きなくらいだ。


「じゃあ、入りましょ♪」


お昼時だから少しだけ混んでいたけど、さすがは牛丼屋。


ほとんど待ち時間も無く、すぐにテーブルが空いた。


「七星さん、どれにします？」


「えっと、並で……」


「少食なんスか？」


「そうでもないけど……。女の子ならこんなもんじゃない？」


「優子は、普通に大盛りとか食うんスけど……」


「嘘っ！？」


あたしが身を乗り出して反応すると、白田君はケラケラと笑った。


彼が店員に注文をしてくれた後、あたし達はほとんど会話もせずに牛丼が運ばれて来るのを待っていた。