蝶々結び

あたしにとって優子は初めての親友だから、絶対に失いたくない。


だけど…


本当に親友だと言うのなら、ちゃんと言うべきなのかもしれない。


向き合う事が大切だと言う事は、あたしだってわかっている。


それでも、いざ自分から行動に移せるかと言うと…


自信が無い…。


あたしは人と接する事が苦手だし、それは今でも変わらない。


言いたい事が上手く言えなくて、いつももどかしい思いをしていた。


優子にだけは、ちゃんと伝えたいけど……


そんな事を考えながら、ブルーベリーガムと携帯の待受を交互を見つめた。


ため息ばかりが、何度も漏れる。


「どうしよう……」


縋るようにブルーベリーガムを握って、そっと瞼を閉じてみる。


その瞬間、瞼の裏に上杉先生の笑顔が浮かんで、胸の奥がギュッと締め付けられた。