蝶々結び

「俺だって、高校生の時は何も考えてなかったからな!」


「先生もですか……?」


「あぁ!全く考えてなかった!毎日バカばっかりやって、友達と騒ぎまくって……」


上杉先生はどこか懐かしげに微笑みながら、楽しそうな声で話している。


「教師になろうと思ったのは、いつですか?」


「大学に入ってすぐだったよ!高校が一番楽しかったから、絶対に高校の教師になりたいって思ったんだ」


上杉先生は満面の笑みで答えて、ブランコを漕ぎ続けた。


「一番……?」


「あぁ、一番!お前も絶対に見付けられるよ!一番をな!」


上杉先生はブランコから飛び降りて、軽々と着地した。


あたしの心の中では、先生の言葉がキラキラと輝いている。


「見付かるとイイな……」


小さく笑ったあたしは、上杉先生には聞こえないように呟いた。