蝶々結び

ダメだっ……!


全然集中出来ない……


「……って、事!わかった?……須藤?」


「はいーっ……!」


上杉先生の話を聞いていなかったあたしは、すごく裏返った声で返事をしてしまった。


「お前……聞いてた?」


「き、聞いてませんでした……」


俯きながら小さな声で答えると、上杉先生が苦笑した。


「よし、わかった!」


「すみません……」


「そうじゃねぇよ!二人とも準備しろ!出掛けるぞ♪」


上杉先生は立ち上がると、あたしと創太を見た。


「え……?」


「マジでっ!?」


上杉先生の言葉で、あたしは不思議に思って小首を傾げたけど、創太は満面の笑みで反応した。


「あぁ。気分転換〜♪」


上杉先生は笑顔を見せながら車の鍵をちらつかせ、あたし達を外へと促した。