蝶々結び

「そろそろ戻るか!」


上杉先生に促されたあたしは、彼と一緒に川辺を後にした。


「そういえば、どうして川なんかに来たんですか?」


「あぁ……。創太から逃げて来たんだよ……」


創太……


あたしはその名前に動揺しながらも、平静を装った。


「逃げる?」


「あいつ、夏休みの課題が全っ然終わってねぇんだよ!朝からずっと付き合わされてさ……」


上杉先生は呆れたように言って、ため息をついた。


「先生も大変ですね!」


「せっかくの夏休みまで何で仕事しなきゃなんねぇんだよ!って思って、こっそり抜けて来た♪」


上杉先生の話を聞きながら、クスッと笑ってしまった。


「須藤は、夏休みの課題終わった?」


「ほとんど終わりましたよ!でも、数学に苦戦してます……」


そう答えた後、上杉先生を見た。