蝶々結び

「また悩み事か?お前はよく悩むよな……」


上杉先生は、苦笑しながらあたしの隣に座った。


昨日までの悩みの種は、ほとんどが先生だったんですけど……


心の中で呟いて、上杉先生をじっと見る。


「えっ、何?俺、何かした?」


先生は少しだけ焦ったような表情を浮かべ、どこか不安そうにした。


「いえ、違いますけど……。何か心当たりでもあるんですか?」


からかうつもりで、そう訊いてみたのに…


「心当たりがあり過ぎてわかんねぇ……」


真面目に答えた上杉先生が、すごく可笑しかった。


「そんなにあるんですか?」


笑いを堪えながらまた訊くと、先生が気まずそうな表情になった。


「だって……須藤は俺の事が嫌いだろ?」


「え……?」


予想外の言葉に、キョトンとしながら上杉先生を見た。