蝶々結び

「先生……」


後ろに立っていたのは、上杉先生だった。


「こんな所に一人でいたら、危ないだろ?」


先生はそう言って、あたしに近付いて来た。


「えっ?でも他に誰もいないし、大丈夫です……」


「だから危ないんだっつーの!誰かに襲われても、誰も助けてくれないぞ」


確かに、そうかもしれない……


ここは奥まっていて道路からは見え難いし、人通りも少ない。


「すみません……」


小さく呟きながら、虚しくなって俯いた。


「いや、そんなに落ち込む事じゃねぇから!てか、須藤泣いてた?」


「えっ?泣いてませんけど……」


上杉先生の言葉に、キョトンとしながら顔を上げた。


「目、充血してるじゃん」


「色々考え事してたら寝不足で……」


あたしは言いながら、軽く目を擦った。