蝶々結び

翌日。


畑仕事を手伝わずに、一人で川に向かった。


畑に行かなかったのは、創太と会うのが気まずかったから…。


だけど、家を出る時には畑に彼の姿は無かった。


まだ家にいるのかな……?


少しだけドキドキしながら、みっちゃんの家の前を足早に通り過ぎた。


祖父母の家から歩いて10分くらいの所に、綺麗な川が流れている。


たまに魚釣りをしている人もいるけど、今日は誰もいない。


あたしはホッとして、大きな岩の上に座った。


逃げるようにここに来たけど、別に何もする事は無い。


だけど…


こんな田舎では、自転車や徒歩だと他に行ける所も無くて、ただボーッと川を眺めているしか無かった。


「何してるんだよ?」


程なくして不意に後ろから話し掛けられた事に驚いて、勢いよく振り返った。