蝶々結び

「久しぶりやなぁ!」


あたしの前に立っているのは、確かに創太だ。


Tシャツの袖を捲り、腰パン気味に濃紺のジャージを穿(ハ)いた彼は、柔らかな笑みを浮かべている。


キャップ帽から覗く髪は明るく染められ、畑仕事をするのにアクセを着けていた。


身長も伸びて少しだけ大人っぽくなった創太は、昨年とはまるで別人だった。


そしてそんな彼は、どこからどう見てもこんな田舎町には似つかわしくない。


「おいっ!!七星!?」


創太はあたしの顔を下から覗き込み、反応の無いあたしを呼んだ。


「えっ……?あっ……!キャッ……!」


突然の出来事に驚いて、尻餅を付いて転んでしまった。


よりによって創太の前で……


絶対にからかわれるっ……!


あたしは俯いたまま、立ち上がる事が出来なかった。