蝶々結び

「わかったぁー!」


あたしも祖父に向かって叫び、野菜を品定めした。


「お母さーんっ!!何採ればイイのー?」


少し離れた場所で畑仕事をしている母に向かって、大声で訊いたけど…


「好きな物採りなさーい!」


返って来たのは、漠然とした答えだった。


好きな物って……


何採ればイイのよ!?


たくさんの野菜に囲まれているあたしは、周りを見渡した。


とりあえず、大根……


自分の真下に植えてある大根の葉を、力いっぱい引っ張った。


「んーっ!!抜けっ……ないっ……!」


あたしの力では抜けないのか、大根は中々動かない。


「アホ!そんなへっぴり腰で、大根なんか抜けるか!」


「はぁっ!?」


眉間にシワを寄せながら勢いよく振り返ると、あたしの真後ろに創太が立っていた。