蝶々結び

二階に戻って、早速Tシャツとジャージに着替えた。


パジャマ用に持って来た物だからダサイけど、畑仕事でオシャレをしても仕方ない。


どうせすぐに汚れるしね……


あたしは肩まで伸びた髪を結び、皆の待つ居間に降りた。


「ええやん、それ!よぉ似合ってるで!」


あたしの格好を見て、祖父が笑顔で言った。


「そう……?ダサイと思うんだけどなぁ……」


少しだけ不服に思いながらも、祖父母の嬉しそうな顔を見て笑みが零れた。


「ほな、行こか!」


祖父に促され、祖父母とジャージに着替えた母と一緒に、畑に向かった。


この辺はとにかく田畑が広がっていて、祖父母の畑は家の目の前にある。


周りを見渡すと、近所の人達のうちの何人かが畑仕事をしていた。


だけど…


創太の姿は、どこにも無かった。