一瞬にして俺のバレたらどうしようという不安が消えた。


台風のような強い風が、どこかに不安という言葉を飛ばしてくれたんだね。


不安よ、不安よ、飛んでいけーー……



俺の思考回路は、もう破滅状態に陥りそうだ。


堂々と言われてしまうと、何か返す言葉も見つからないのはなぜだろう。



「そんなに落ち込まないでよダーリン!」



「もう、好きにして下さい」


投げやりな態度に出るしかない俺。


別に悪魔がどうだとか、天使がどうだとか、どうでもいいのに、なんで俺は隠そうとするんだろう。


「ダーリン!ねぇ、機嫌直してよーほらー。帰ったら…襲っていいからさー」



「ダー!絶対に襲いませんから!バレた事はしょうがないですけど、あまり派手に暴れないで下さいね!」



ミカさんなりの謝り方なのかは分からないけど、小さな?事でくよくよしててもしょうがない。



「よーし!ミサさんが待ってるから、家まで競争しましょう!」


俺はフライング気味に先に踵を蹴って駆け出した。


「ダーリン!いきなりはズルいよー!ミカが勝ったら、キスだからねー」



気づけば、俺達は夕焼け空に照らされていた。