「辛いな……」



帰りのバスの中で、先生は小さな声でそう言った。


それからずっと黙ったまま、私の手を握っていた。




先生は、旅行から帰って、生徒達にどんな話をするんだろう。


私も先生の話が聞きたい。


きっと卒業した生徒もみんなそう思うよ。




ホテルに戻る前に街を散歩した。



「先生のホームルーム聞きたいな」



私は握った先生の手を揺らした。



「毎日一緒にいるんだから、いつでも聞けるだろ?」




先生は、夕焼け色に染まる空を見上げた。




「教室で聞きたいんだよ。教師してる先生は最高だもん」



「そうか?」