フロントの男性が、海への行き方を説明してくれた。



ホテルのプライベートビーチがあり、そこは観光客が少なく、バナナボートに乗れるらしい。




「日焼け止めちゃんと塗ったか?今日は焼けるぞ」




先生は、私の首の後ろをまじまじと見て、日焼け止めがちゃんと塗れているか確認してくれた。



「夏が終わる頃には、指輪の跡がくっきりとつくくらい焼けてるんだろうな」



先生は、左手を太陽にかざして、薬指の指輪をくるくると回した。




「そうだね。いつか……この指輪が体の一部になるくらい、慣れちゃうんだよね」



「ああ、そうだな」



まだまだ指輪に慣れない先生は、旅行中も時々指輪を触っていた。




「太って抜けなくなるかもな。傷ついちゃうかも知れないけど、ずっとつけておくから」



「ありがと。先生!!」




先生の左手をぎゅっと握った。