あゆみは、手に持っていた北海道のパンフレットを私に渡した。


美穂は、さっきからフランスのパンフレットばかり見ていて、真崎君に頭を叩かれた。


「だからぁ!!フランスなんて無理だって!!」


「いいもん。私新婚旅行で行きたいなぁ、フランス」


美穂は、彼氏のタカと順調に愛を育んでいるようで一安心。





「ハワイも無理だから!!」


真崎君は、桃子の頭を叩く。


「だって……翼先生、ハワイにいるんだよ、今……」


今年から専門学校の1年生の旅行が海外になった。


だから、翼先生はその引率でハワイにいるんだ。




「で、お前……脈あんの?」


真崎君は、桃子の顔を覗き込むようにして聞いた。



「う…… 胸が痛い。真崎君、きついよ」


桃子は胸を押さえて、悲しい表情で真崎君を見た。



「何?フラれたの?」


「フラれてないもん。でも、脈があるかどうかはわかんない」



私と美穂が、桃子の肩をポンポンと叩いた。



「まだまだこれからじゃん」


要君も優しい言葉をかけた。


桃子と翼先生は、元生徒と先生という関係ではなくなっていた。


メールのやり取りもしているし、何度か食事にも行っているようだった。


でも、桃子的にはイマイチ気持ちが見えないらしい。


翼先生、桃子のことどう思っているんだろう。