「最後……なんだね」
「最後ってそういう意味じゃないんだけど、ごめん…… 別れるにしてもやり直すにしても、今日で一度気持ちに区切りを付けたいなと思って。この気まずい状態は今日で最後って言いたかった」
慌てて、弁解してくれるところが優しいね。
きっとたっくんは、今日で別れるって決めてここへ来た。
「たっくん、今幸せ?」
「幸せだよ、とは言えないかな。仕事のことも、恋愛のことも答えが出ないまま……自分で自分がよくわからない」
「私……たっくんのこと支えられないかな」
たっくんは、グラスをじっと見つめたまま瞬きもせずに何かを考えていた。
「ゆかりを苦しめてる気がする」
「苦しくなんかないよ…… でも、たっくんが苦しいなら、私はもう一緒にいない方がいい」
こっちを見て。
たっくん、私を見て。
ゆっくりと顔を上げたたっくんが、大好きな笑顔で言った。
「それがいいのかな。絶対後悔するってわかってるのにな。ゆかりのこと、大事にしてないもんな、俺……」
それがいいのかなって言った。
一緒にいない方がいいってことだよね。

