鞄も持たず、勢いで飛び出したんだとわかる。



部屋中のいろんなものが、直を心配しているようだった。




何があった?


金森達から電話がかかってきたのか?




電話機のそばのメモ帳が床に落ちていた。






留守電を聞いた。



直もこの留守電を聞いたんだ。





内容はひどいものだった。







家を飛び出す気持ちがわかる。




俺は自転車で、直を探した。




あの日を思い出す。


直が居場所もわからずに電話をしてきたクリスマスイヴ……




あの時と違うのは、直の気持ちが手に取るようにわかること。



直がここで曲がったんじゃないかってなぜかわかったし、直が今どんな気持ちでいるのか俺にはわかった。




直、俺とお前は心で繋がっている。


離れていてもお前のこと、近くに感じるし、お前の心が見える。




俺と直は夫婦なんだ。