ピピピピ



お風呂が沸いた音。



先生は優しく私の手を取り、お風呂場まで連れて行ってくれた。



自分で脱げるのに、先生は私の服を脱がしてくれて、先生の気持ちが伝わってくる。



―ごめんね、ごめんね―

って先生の心の声が聞こえてくるんだ。





温かいお湯の中に足を入れる。



先生と向かい合って、湯船の中で手を握る。




先生の足の間に私がすっぽりと入って、先生に包まれているようだった。





「直、言いたいこと全部吐き出して」




先生はお湯で自分の顔を濡らした後、濡れた手で私の前髪をかきあげた。




「嫌いにならないで……」



「ばかだな。俺が直を嫌いになると思う?」



「ごめんなさい」




私は、自分の行動を思い出した。



家に帰って、留守電を聞いて、ただとにかくどこかへ逃げたくて……


どうしてあんなことをしたのかわからない。




「教師をしてる先生が好きなはずなのに、私……先生が教師じゃなければいいのにって思ってしまったんだ。明日から先生が学校に行かなければいいのにって。こんなこと考えてしまう自分が嫌い」




今は、学校がとても怖い場所に思える。


敵がいっぱい。


先生を誘惑したり、先生を困らせたり、私と先生を引き離そうとする人がたくさんいる場所のように思えてしまう。




「直は悪くない。そう思うのは当然だよ」




先生は、温かい手のひらで私の頬を包み込み、そっとキスをした。