「わかんねぇよ。いろんな所を探した。でも、直に気持ちになったら何となくあっち方面だと思った。飛び出して、左に曲がったんだろうってことはわかった。きっと直の心の声が聞こえたのかな」






先生は、10分以上自転車で走り回って、私を探してくれた。




雨の中、濡れながら……



それなのに、一言も私を責めなかった。




ごめんなさい。



心配かけてごめんなさい。




私よりも先生の方が辛いよね。



私がしっかりしなきゃ。





先生は、家に帰ると大きなタオルを私の頭に乗せた。




「風邪引くといけないから風呂入るぞ」



お風呂のボタンを押した先生は、突っ立ったままの私の頭をタオルで拭いた。





「まだ温かいから、食おうか」


着替えた私達は、ソファに座ってコロッケを食べた。




とても美味しくて、冷えた体に染み込んでくる温かい味。