雨が降って来た。
もう夏が始まるのに、雨が降ると肌寒くて、体が震えてくる。
先生、見つけて。
あの時みたいに。
高校2年のクリスマスイヴ。
たっくんの車から飛び出した私は、公衆電話から先生に電話をかけた。
今自分がどこにいるのかさえわからず、ただ先生の声が聞きたくて……
寒くて、凍えそうなのに、先生の声を聞いただけで温かくなったんだ。
あの時、気がつくと先生が私を抱きしめてくれていた。
先生、ここどこだろう。
先生はもう家に帰ったかな?
私が家にいないこと、きっと心配してる。
ごめんね、先生。
心配させてごめんね。
商店街のような路地。
店はほとんど閉まっていて、コロッケ屋さんの前には人が集まっていた。
懐かしい匂い。

