「先生の寝顔、待ち受けにしちゃった」




直は、嬉しそうに俺に向かって携帯の画面を見せた。




その瞬間だった。




ほんの5秒くらいのその瞬間に……

直に電話がかかってきた。






俺に画面を見せていたせいで、誰からの電話なのかハッキリとわかってしまった。



画面に出た文字は


【要くん】



……要輝彦。





最近は、俺の頭の中からすっかり消えていた要君。





就職して忙しくしていると直から聞いたことがあった。






「ごめんね、先生」




「いいよ。出ていいよ」





ベッドから立ち上がろうとする直を後ろからぎゅっと抱きしめた。



足をバタバタさせて、俺から逃れようとする直。


俺は直のお腹に手を回し、肩にあごを乗せて、直をがっちりと抱え込んだ。