「海東君って、彼女いるんでしょ?」



同期の女の子が連れて来た先輩は、俺より3つ上の色っぽい女性だった。


俺、年下しか知らないから、こういう女性にどう対処していいのかわからない。




「いると言えばいますけど」


何だ、この返事。


ゆかりは、俺の大事な彼女だろ?



「じゃあ、脈ありだよね」



勝手に携帯取られて、勝手に赤外線通信でメアド交換されて……



勝手にって言っても、拒もうとすれば拒めたはず。



にこにこ笑って、それを許したのは誰でもない俺。




最近の俺はどうかしている。


何が何だかわからない。




俺は弱い人間だ。



酔っ払った女性が、俺の手を握ってるってのに、それを拒否することもできない。




先生ならこんなことしない。


絶対にバレない場所でも、先生なら直ちゃんを裏切らない。




俺は先生にはなれない。


先生みたいな男になりたいのに、俺はどんどんだめな男になっていく。





―たっくん目線END―