「先生は子供どっちが欲しい?」



「聞かれると思った。俺もさっき、里田の赤ちゃん見ていて考えてたんだ。でも、結論は出なくて、やっぱり性別に関係なく子供ができたら嬉しいって思う」




七緒ちゃんっていう娘がいる先生に向かって、今の質問はかわいそうだったかなと思った。


でも、先生は真剣に答えてくれる。




「俺、女心わかんねぇからな。男の子の方が仲良くなれそうだけど。でも、直にそっくりな女の子も見てみたいよな……」



「そっか。そう考えると、先生にそっくりな男の子が生まれる可能性もあるんだよね。ドキドキして子育てできないよ~」



先生は手を伸ばして私のおでこを突っついた。





「早く欲しいって思った?」


低い声で、ゆっくりと先生が聞いた。





私は、ゆっくりと頷いた。


「うん。思っちゃった…… 依子幸せそうだったよね」




「俺も思ったよ。幸せそうな顔見てると、俺も直の子供が欲しいって思った。でも、焦らず行こう。今しかできないこともあるから」



先生が顔を近付けてくれたおかげで、コーヒーの匂いがした。



先生の匂い、好き。