「あれ?直の携帯、鳴ってない?」



私は鞄の中から携帯電話を探した。



「あ!ゆかりからだ!!」



慌てて電話に出る。



ここ数日、私も先生も電話が鳴るたびにドキドキしていた。





と、いうのも……



「もしもし、ゆかり!!どうした?」




先生は音量をOFFにして私とゆかりの会話に耳を澄ませていた。




「やったーーーー!!!今日、仕事終わったらすぐに行く!」



そう、依子の赤ちゃんが生まれたんだ。



予定日の少し前だったけど、体調が悪く入院していた。


いつ生まれてもいい状態だと聞いていたので、毎日依子のことを考えていた。





「先生!!生まれたって!!依子!!予想通りの男の子だって」