知りたくない。



悲しい出来事だとしたら、知りたくないよ。



怖いよ。




いつかは来ることなのかも知れないけど、私には乗り越えることができる?




先生の横顔をただ見つめていた。




おでこに浮いた血管が、先生の緊張を物語っていた。





さっきまでは夢のようにロマンチックだったこの部屋なのに……



先生の横顔の向こうに見える景色も、さっきまでとは違って見える。





「はい……はい。どういうことですか?」




深刻そうな顔。


低い声。





「あ~、良かった!!」




先生は、上半身をベッドに倒した。



先生の安心した表情と声に、私も緊張が解けた。





「直、お父さんもお母さんも無事だ。安心しろ」




先生は、私にそう言ってからもう一度体を起こし、話し始めた。