この世には信じられないが、説明のつかない不思議な事があるものなのだ。

時間の流れが止まったままさまよう者達。

肉体がもう存在しないのに、生前の姿をとどめ、そこにある者。

時間をつなぐ出入り口もあれば、誰でも行けるわけではない。

真昼はそれらを自由に行き来する特殊な能力が備わっていたのだ。

時間と状況とタイミングも必要な事を、真昼は試行錯誤して把握した。

特別な力のかわりに、人が見えない者を見たり、将来起こる悲しい事も全て知ってしまい、心優しい真昼は苦しみも同時に背負ったのである。