執事とお嬢様、それから私



あれから一週間。


何事もなく、また無意味に時だけがすぎていった。


あの時一瞬色づいたように見えた世界は、またモノクロに戻っていく。


カナシくは、ない。

日常、だから。


誰もいない家に帰る。
部屋に入り、線香をあげる。
煙の向こう側には、微笑む両親がいる。


「ただいま…」


返事は、ない。


あったら怖いっつーの。
腹、減ったな。飯つくるか~。


どっこいせと立ち上がり、年ったな~なんて思う。


ピンポーン♪


久しく聞いていない音が鳴った。


「…誰?」


また、アイツラ、か?
…しつこいな。