【第2楽章:予告編】




「俺、おまえのピアノ好きだけどな」


――震える指で奏でた想いを、君は笑顔で聞いてくれた。



「そういう真っ直ぐな気持ちでピアノに向き合えるところ、昔から羨ましかったよ」


――天才だと思い込んでいた彼女は、知らぬ間に孤独を抱え込んでいた。



「…俺は嫌だな。好きなやつのために我慢するなんて」


――ずっと前から見守ってくれていた彼の優しさに、あたしは気付けなかった。




僕らはどこを目指したのだろう。

何を目指して歩いていたのだろう。


――その答えは、まだ誰も知らない。




「みんなで夢を叶えようね!」



そうみんなで励まし合った日々が、徐々に遠ざかっていく。


僕らに残された時間は……あとわずか。



「好きなことを選んだほうが、きっと後悔しないよ。……だって、好きなことを選んだ自分のこと、恨むわけないもん」



何が正しいのかも分からずに、ただひたすら歩いてみた。


歩いてきたのは真っ暗な道だけど、ちゃんとここまで辿り着けた。



……だって。


道を照らす光を持っていたのは、僕ら自身だったのだから。




《光を背負う、僕ら。―第2楽章―》

>>2014年3月25日完結!