学園長は「そうか」と微笑み混じりに言った。
「君には、いい目標となる人がいるんだね」
「…はい!」
学園長の言葉を飲み込むように受け止めたあと、力強く返事を返した。
お母さんの才能がとても認められている気がして。
あたしが目指しているものは間違っていないと言われたような気がして。
ただ素直に、嬉しかったんだ。
「…そうだ。 君の演奏を聞いて言いたいことがあったんだ」
学園長は思い出したように表情を引き締めて、背筋を真っ直ぐ伸ばし直した。
真面目な顔が何か深刻な話を連想させて、体に緊張感が走る。
向き合う体を同じように整えて、次の言葉を待った。
「さっきも言ったが、君の演奏は本当に良かったよ。 詩織さんに似ていると、率直に思った。 だが……」
学園長が一度言葉を詰まらせることで、褒められて浮き足立った気持ちがすぐに鎮まる。
最初よりも、空気に交わる緊張感が重く感じられた。



