「…まずは、君のお母さんの話からさせてもらおうか」
あたしの顔を見ながらゆっくりと口を開いた学園長の声は、とても穏やかで落ち着いていた。
徐々に、緊張が和らいできたのかもしれない。
あたしは学園長見つめ返して、話に耳を傾けていた。
「詩織さんがこの学園に入ってきたときは、結構話題になったんだ。 …何故だか分かるか?」
学園長に突然そう聞かれて驚くものの、一旦冷静になって頭を働かせる。
すると、“話題になりそうなこと”で思い出したのは、ついこの間のお母さんとの話で聞いたあのことだった。
「高等部から学園に編入するのは難しいから……ですか?」
思いついたものの答えに自信がないまま恐る恐るそう答えてみると、学園長は感心したように目を開かせる。
「あぁ、その通りだよ。 詩織さんから聞いていたんだね」
「…はい」
きっと学園長は、とっくの前にその話をあたしが聞かされたと思っているだろう。
…そんな気がした。
でも、そのことを聞いたのも、お母さんがこの学園に通っていたことを聞いたのもつい最近のこと。
だからこそあたしは、すぐに答えることが出来たんだ。



