光を背負う、僕ら。―第1楽章―




学園長はさっそく谷口さんが用意してくれたアイスコーヒーを飲んでいた。



上品にだけどとても美味しそうに飲む姿は、こっちの気持ちまで掻きたてるものだった。



あたしはそんな気持ちに突き動かされるままに、グラスと一緒に持ってきてもらったミルクをアイスコーヒーの中に入れる。



それをストローでかき混ぜると、カランカランと氷が音を立てた。



そして動作を休むことなくストローで少しずつコーヒーを口に含むと、気分が落ち着いていくような気がした。




「…さて、何から話をしたらいいだろうか」




グラスをテーブルに置いてゆっくりと口を開く学園長を見て、そろそろだと実感する。



あたしも学園長と同じように、テーブルにほとんど中身が無くなってしまったグラスを置く。



液体よりも量が多くなった氷が、またカランと音を立てた。




「君に話をしようと持ちかけたのは私だが……正直困ってるんだ。 君と何の話をしたいのか具体的に考えていなかったからね、君を誘ったときは」



「………」



「でも、君をここに誘ったのは私だ。 君に失礼のないように、ちゃんと話題を出すつもりだよ」




少し前屈みの体勢で悩んでいるように見える学園長の顔は、決して平気な風には見えなかった。



落ち着いた雰囲気はある。


でもそれは、ただの大人の見栄のようで。


笑顔を見せないところと見ると、相当緊張しているんじゃないかと思った。




…なんだ。

あたしばかりが緊張しているわけじゃないんだ。




それが分かると、なんだか自然に笑顔を作ることが出来た。