「ははっ、驚いているようだな」
「あっ、えっと…」
きっと分かりやすいほどに驚いた顔をしていたに違いない。
学園長はあたしの顔を見ながら愉快に笑った。
「彼は私の秘書の谷口君だ。 若いのに優秀でね。 頼りになる私の右腕、欠かせない人物だよ」
「……」
「…そんなにあの扉が気になるかい?」
「い、いえ! そんなことは…!」
どうやら学園長は、あたしがずっと谷口さんが入っていった部屋を見つめていたことに気付いていたらしい。
物珍しそうに部屋の中を見ていたことがバレたのが急に恥ずかしくなり、慌てて目を背けて俯いた。
きっと今、林檎みたいに頬が真っ赤になってると思う。
「あの扉の向こうにも、ここほどの広さはないが部屋があるんだ。 彼は向こうにある部屋に、飲み物を準備しにいったんだよ」
この学園のことを何も知らないあたしは、その話を聞いてもいまいち部屋のイメージなどをすることが出来なかった。



