「…先生」
「ん? どうしたの?」
あたしは真っ直ぐ先生の顔を見た。
そして、ずっと言おうと思っていたことをやっとの思いで口にする。
「…今まで、ずっと嘘をついていてごめんなさい。
それと、何も聞かずにいてくれてありがとうございます」
気が付くと、自然と頭が下がっていた。
先生はそんなあたしに戸惑って頭を上げさせようとしていたけれど、これでも足りないくらいだった。
どんなに感謝の言葉を述べても。
どれだけ深く頭を下げても。
知らないうちにずっと優しく見守ってくれていたお礼には、全然足りないんだ。
「…佐奈ちゃん。 遠慮なんてしなくていいのよ?」
鈴木先生はやっとのことで顔を上げたあたしの目を見て言う。
「佐奈ちゃんは、いつも遠慮しすぎてる部分があるわ。
友達にだって、先生にだって、遠慮ばかりしなくていいの。
謙遜ばかりする必要なんてないもの。
だってみんな、同じ吹奏楽部の仲間でしょう?
友達だって、先生だって」
“仲間”
その言葉が、心に安らかな温かみを与えてくれるような気がした。



