光を背負う、僕ら。―第1楽章―

いつだったかあたしは、自分と小春ちゃんがどこか似ていて近い存在のように思えたことがある。



お互いの生まれた環境が、あまりにも似ていると思った。



母親が世間から注目を浴びている人物であることで、あたしは小春ちゃんにとても親近感を感じていた。



でもよくよく小春ちゃんと自分を見比べてみると、あまりにも違った部分が多い。



小春ちゃんはピアニストを目指し、ピアニストの娘として将来を期待されている。



だけどあたしは小春ちゃんと同じ夢を持っていても、誰もあたしに期待などしてくれない。



むしろ“笹川詩織”の娘であることを隠して、ピアノを弾くことを許されていない。



ピアノさえろくに弾けない状況なのに、ピアニストになりたいなんて夢は叶うはずもない。



そんな自分の立場を身を持って知っていくうちに、近い存在だと思っていた小春ちゃんは、打って変わって遥か遠い存在になっていった。



二人の間に出来た距離は、小春ちゃんが夢に向かって確実に成長していく度に、またどんどん広がっていくばかりだったんだ。