そろそろいいかな…。
自分が準備し終わった後、後輩達の準備の出来具合を見計らって口を開く。
「そろそろ始めたいんだけど、みんな準備出来たかな?」
「はい!!」
「出来ました!!」
口々に返事を返す後輩達。
その返事はすべて、OKというものばかりだった。
「じゃあ、始めようか」
座っていた椅子から一度立ち上がり、座り直す。
座り直すあたしの手には、フルートが握られている。
後輩達の手にも、フルートが握られている。
そう。
あたしが担当している楽器は、フルートなのだ。
今思うと、フルートに魅力を感じたのは、吹奏楽部に仮入部に来た時だった。
あたしが一年生の時にいた三年生の先輩がフルートを吹いているのを聞いて、フルートの音色に一瞬にして惚れた。
あの時聞いた透き通るようなフルートの音は、今でもはっきりと耳に残っている。
入部した当初は、リコーダーとは違う横笛のフルートにかなり苦戦したものだ。
だけど今ではお手の物。
それは時間のせいなのか、あたしの努力の成果なのかは分からない。
だけど分かるのは、あの時と今のあたしが違うということだ。



