光を背負う、僕ら。―第1楽章―

お母さんはいつだって「わかってる」と口にして、あたしの気持ちをわかっているつもりでいる。



だけどそんなの、全然違う。




だってあたしが今、どれだけの辛い思いで胸がいっぱいか、どれだけ胸が張り裂けそうな気持ちを抱えているかなんて、お母さんは知らないでしょう……?





思いが伝わらないもどかしさ。



胸が張り裂けそうな、辛くて悲しい気持ち。



それらがすべて一気に込み上げてきて、あたしの涙腺を刺激する。



だからあたしは涙が零れる前に、口を開いた。




「……あたしは、そんな生活望んでない。」



「でもね、佐奈。佐奈はわからないだろうけど、本当の幸せっていうのは普通の生活の中にあるの。普通に暮らせること自体、幸せなことなのよ。」




半ば強引に。



まるであたしに催眠術でもかけて言い聞かせるかのようなお母さんの言葉。



でもあたしはそんな卑怯な術に、やすやすと引っ掛からない。





大好きなピアノに夢中になることも出来ず。



その気持ちをさらけ出すことも出来ず。



ただ誰かが作った道を、辿りながら歩いていく生活。




――それを人は、本当に“幸せ”だと思えるのだろうか?