光を背負う、僕ら。―第1楽章―

こんなこと言っちゃうのもなんだけど、きっと今まで聞いてきた誰の演奏よりも、お母さんの方が上手いと思える。



そう思えるのには、もう一つ理由があった。



今のお母さんは、楽譜を見ずに演奏している。



楽譜も見ずに、こんなにもはっきりと強弱をつけられるものなの?



中身をただ単に覚えることは、何回も練習すれば出来ることかもしれない。



だけど楽譜通り、正しく音符を覚えられるものなの?



何拍なのか、どこで強くするのか。



それらのことを正しく出来てこそ、作曲者が作った“本当の曲”を演奏出来るのだと思う。




だから今、楽譜を見ずに“本当の曲”を演奏しているお母さんは、本当に上手いんだと思った。






しばらく続く演奏に、あたしはしばしの間耳を澄ませて聞いていた。



ただ聞いて感心するのが今回の目的ではない。



今あたしがしなければいけないのは、違いに気付くこと。



だからこそ真剣に集中して、演奏を聞き続けた。