光を背負う、僕ら。―第1楽章―

お母さんはピアノの鍵盤の蓋を開くと、一度動きを止めた。




「…もっとこっちに来たら?」



「えっ…。」




お母さんの言葉に、すぐには反応することが出来なかった。



だけどお母さんはかすかに微笑みながらあたしを待っている。



だから……ゆっくりと。



ゆっくりとだけど、足を動かす。



一歩一歩確実に足を進めて、お母さんとピアノの元に近寄った。



その瞬間また、ドクン…と胸が鳴って、緊張しているのがわかる。



なんといっても、お母さんのピアノを聞くのは久しぶり。



またあのお母さんのピアノを聞けるんだと思うと、自然と嬉しさが込み上げてくる。



だけどその反面、少し……怖かったりもする。



だって今からお母さんがピアノを弾くのは、事故に遭う前と遭った後の違いをあたしに気付かせるため。




今のあたしは、それに気付くことが出来るの?




一抹の不安を抱えるけれど、ことはどんどん進んでいく。



気が付くとお母さんは椅子に座っていて、いつでも弾ける状態になっていた。