光を背負う、僕ら。―第1楽章―

そんなあたしの姿を見兼ねたお母さんは、とても戸惑っていた。



…かと思うと、かすかに唇を開く。




「……何なら、今から聞いてみる?」



「えっ…。」



「今なら、わかるかもしれない。今と過去でどんな違いがあるのか。」




ドクン…と胸が鳴った。



お母さんの言葉が意味るするもの。




それって、つまり…。




「今から弾くわ。…ピアノ。」




お母さんはソファーから立ち上がると、とても落ち着いた声でそう言った。



また、ドクン…と胸が鳴る。



さっきよりも激しく、さっきよりも早く。




お母さんはさっきの言葉だけ言ったかと思うと、立ち上がった足でそのままある場所へ向かう。




向かう先にあるのはもちろん……ピアノ。




突然の出来事に、思考だけが取り残されていく。




お母さんが弾くの?



ずっと弾いていなかったピアノを…?




お母さんはピアノに近付くと、そっとカバーを外した。



カバーをかけていたせいか、それともお母さんが手入れだけはしていたせいかして、ピアノは漆黒の輝きを放っていた。



まるでそれは、まさにこの瞬間を待ちわびていた証にも見えた。