光を背負う、僕ら。―第1楽章―

ずっと…ずっと、信じることが出来なかった。



あんなにも輝かしくピアノを弾いていたお母さんが、前みたいにピアノを弾けないってことを。




あの頃のあたしの目標は、もちろんって言っていいぐらいお母さん一筋だった。



だからこそ、目標であるお母さんがいなくなってしまうことがショックでもあった。



前と変わらず上手いお母さんが以前と違うなんて、思いたくても思いたくなかったんだ……。




「佐奈…。」




あたしの名前を呼ぶお母さんの声が、あまりにも切なげで…。



あたしの心まで余計に、切なさで満たされてしまうよ。




「…ありがとう。」



「………?」




突然お母さんの口から出てきたのは、感謝の言葉だった。




「ずっと、信じてくれてたのよね?私が前みたいにピアノを弾けるって。」



「……うん。」



「だけど、ごめんね。これが現実なの。」



「…だけど、あんなに上手かったじゃない!怪我してからも。」



「…ううん、違うのよ。」




お母さんは首を横に振りながら、確かにそう言った。