光を背負う、僕ら。―第1楽章―

すべては幼いあたしの、精一杯の慰め方だったのかもしれない。



実際それに効果があったのかは実感出来なかった。



…だけど。




「佐奈が一生懸命私のためにピアノを弾いてくれる。それだけで心が、ほんの少しずつだけど落ち着いたの。あなたはいつもと変わらない笑顔で、とても楽しそうにピアノを弾いてくれた。以前と変わらない無邪気なその姿が、眠りかけた感情を呼び起こしてくれた。“またピアノを弾きたい”っていう気持ちを。」




お母さんの言葉を聞くと、あたしの中で幼かった頃のあたしが喜んでいた。



“よかった”って、安堵の表情を見せながら。




「前向きで、ひたむきなあなたの姿。その姿を見るだけで、頑張れる気がした。娘は頑張ってるのに、自分は何をしてるのって思ったら、失いかけた夢を自ら諦めることはしたくないって思ったの。可能性は少なくたっていい。そのかすかな可能性に賭けてみよう……そう心に決めた。」




胸の内から沸き上がる熱い思いが、お母さんの瞳から限り無く溢れていた。