光を背負う、僕ら。―第1楽章―

お母さんは事故に遭うまで、毎日家でピアノの練習をしていた。



だけど事故以降、お母さんは怪我をしていてピアノを弾かなくなってしまった。



あの頃のあたしは、弾けない理由もちゃんと理解していた。



だけど毎日生き生きした表情でピアノを弾いていたお母さんが、毎日怪我をした右手首を見ながら塞ぎ込んでいる。



その姿がとても小さくて、なんだかあたしまで悲しかった。



そんな中で思い付いたのが、あたしが変わりにピアノを弾くということだった。



ピアノを弾けないお母さんの変わりに、あたしが弾く。



まだまだ幼かったあたしは、それでお母さんに元気を取り戻してもらおうって思った。



ピアノの音を聞いたら、元気になってくれるって思ったの。



あんなに生き生きとピアノを弾いていたお母さんだもん。



ピアノのメロディーは、きっと心を優しく包み込んでくれるよ…。




あたしはお母さんに元気になってもらいたいその一心で、毎日ピアノを演奏した。




お母さんが、元気になってまた笑ってくれますように。


お母さんが、前みたいにキラキラした表情でピアノを弾けるようになりますように。



そんな願いを、メロディーに込めて。