光を背負う、僕ら。―第1楽章―

有名だからこそ、些細なことでさえ大事になる。



なのにお母さんの事故は、誰もが注目するような大きな出来事。



きっとマスコミはそれを、放ってはおかないだろう。



マスコミに注目されている芸能人なんかをよくテレビで見るけれど、いつも自分とはかけ離れた世界って思いながら見ていた。



……でも、こんなにも近くにいた。



自分の気持ちも知らずに騒ぐマスコミに、心を折られてしまった人が……。




「…すごく、辛かったんだね。」




ありきたりな言葉は、ただの同情にしか感じられないかもしれない。



きっとそれは、本当の気持ちも知らずに“お気の毒に”や“可哀相に”なんて騒ぐ人達と一緒。



だけど、どうしても他の言葉をかけることが出来ない。



きっと誰にも、お母さんの気持ちを悟ることなんて出来ない。



家族のあたしでも感じられないほどの不安や悲しみを、お母さんは抱えていたのだから。




「…本当に、辛かったわ。」




お母さんの声が、震えていた。



その声に、あたしの心がズキンと痛む。




あー…。


やっぱりあたしには知ることの出来ない思いを、抱えているんだね。