光を背負う、僕ら。―第1楽章―

不思議に思っていたことが、この時初めて繋がった。



あたしはあの事故のことを覚えていないんじゃなくて、知らなかったんだ。



それに後お母さんの言葉で、思い出したことがある。



鈴木先生が前にお母さんの話をしていた時、確か言っていた。



『事故の原因は、ニュースでも詳しく報道されなかった』って。



それはお母さんが大事にならないようにした、対処方法だったんだ。




「…事故って言っても、交通事故ではなかったの。」




お母さんは右手首を、そっと左手で撫でる。



まるで腫れ物を触るかのような、慎重でゆったりした手つきだった。



お母さんの右手首を見ると、うっすらと細い線みたいな傷跡があった。



治っているはずなのに、痛々しく見えてしまう。



あたしでもそう見えてしまうなら、お母さんには余計痛々しいものなのかもしれない。



きっと見えている傷跡以上に深くて、跡が残る傷だから…。




「…じゃあ、交通事故じゃない事故って、何があったの?」




嫌な記憶を思い出させるということは、すでに覚悟していた。



だけど、少なからずあたしにも影響してるんだもん、その事故。



自ら聞こうって思った。