光を背負う、僕ら。―第1楽章―

「…だけどね、何もかもが上手くいくことなんてないの。何にでも最後に、必ず“終わり”はくるものだから…。」




うつむいた暗いお母さんの表情と、トーンの低い声。



それだけで、お母さんが言いたいことはわかった。



今お母さんが思い出しているのは、きっと8年前の出来事。



「事故」と言われただけで、あたしはよく知らないあの時の出来事。




そしてお母さん自身もあたしも、ピアノを弾くことが途絶えてしまった、真実――…。




すべてが始まったそれを、今から聞くんだ…。




改めてそう思うと、少し緊張した。



8年前のあたしが知らない出来事は、どれくらいお母さんとあたしを苦しめてきたことだろう。



その原因を、今から聞くんだ。



そのことを心にとめて、お母さんの声に耳を傾けた。




「8年前……。お母さんが事故にあったのを、佐奈は覚えてる?」




覚えてるも何も、忘れるわけなんてないよ。




「…覚えてる。だけど、何の事故かはわからない。」



「わからなくて当然よ。マスコミに知られることを避けるため、事故の原因は事務所と、お父さん、それからお医者さんにしか知らせてないんだもの。」