光を背負う、僕ら。―第1楽章―

「それから三年間必死に練習したり勉強したりして、高等部を卒業しようと思った頃よ。プロのピアニストになれたのは。」




お母さんの表情はその時のことを思い出しているのかして、とても嬉しそうだった。




「18歳でプロのピアニストになったから、“天才ピアニスト”って言われてたんだよね?」




そう尋ねると、お母さんの表情は一瞬にして曇ってしまった。




あれ…。


何かまずいことでも言ったかな?




「ええ、確かにそうよ。だけどそうやって注目されればされるほど、背負うものは大きくなっていくのよ。マスコミに注目されるほど、余計にね。」




なんとなくだけど、お母さんの気持ちはわかった。



上手くなればなるほど注目される。



それは逆に、その注目以上のプレッシャーを背負うことになる。



お母さんはピアニスト時代、ずっとそれを背負ってきたんだね。



引退するまで、ずっと…。




お母さんのピアニスト時代の裏側にあったもの。



あたしはそれを今の今まで、全然知らなかった。



引退した時の中傷のことなどは知っていたけれど、きっとそれもあたしが知っているもの以上なんだと思う。