光を背負う、僕ら。―第1楽章―

「東條学園は、よく定期コンサートとかもしてたの。学園祭のコンサートは、一年間の目玉行事でもあったのよ。」



「…そうなんだ。」




知らなかった、お母さんの世界。



平然と東條学園のことを話すお母さんが、急に遠くに感じられた。




「…って、急に学園祭のことから話されても困っちゃうわよね。」




感じた距離感に戸惑ってうつむくあたしに、そう言葉を付け加えた。




「…ちゃんと、順番に話すわね。最初から今まで、全部。」




思わず、息を飲んだ。



緊張は未だに、ほぐれていないようだ。



お母さんも緊張しているのかして、瞼を閉じてゆっくりと深呼吸をする。



そして瞼がまるでスローモーションのように開いた時、お母さんはついにすべてを話し始めた。





「お母さんがピアノを習い始めたのは、3歳の時。お母さん…佐奈のおばあちゃんが習わせたのが、きっかけだったわ。最初はお母さんもあんまり興味がなくて、練習してもなかなか上手くならなかったの。それもそうよね。おばあちゃんが習わせようと思っただけど、お母さんにはその意志がなかったんだもの。」




お母さんは、ちょっとだけ苦笑いしてみせた。