光を背負う、僕ら。―第1楽章―

噂に流されていたかどうかということは、もちろん気にしてた。



でも、実夏になんて言われるかなってことも気にしてた。



「佐奈も本気の恋じゃなかったんだね」って思われたり言われるのが怖くて、仕方がなかったんだ。



想像とは裏腹な言葉に、思わずじーんとなる。




「…本当に、そう思ってくれる?」




質問に驚いたのか、それともやっと口を開いてもらえたことに驚いたのか、どちらに対して驚いていたのかはわからないけれど、とにかく実夏は目をキョトンと丸くして驚いている。



けれどすぐに、拍子抜けたように笑った。




「当たり前じゃない!嘘なんて言わないよ。それにね佐奈、あたしは本気の恋をしてない人は応援しないの。だからそんなに、自分の気持ちを疑っちゃダメ。佐奈はちゃーんと、伸一君のこと好きなんだよ!」




思わず、耳を疑った。




「…じ、自分の気持ちって…まさか実夏、気付いてたの?」



「もちろん、ちゃんと気付いてたよ。さっき佐奈が自信なさげに『噂に流されてたのかな?』って言うから、なんとなく嫌な予感はしてたの。」



「嫌な…予感?」



「そう。自分の気持ちを見失いかけてる予感。」